家族信託は以下の3者で構成される制度です。
- 委託者…財産の所有者、受託者と信託契約を行って財産を託す
- 受託者…契約に基づいて委託者の財産管理・運用・処分等を行う
- 受益者…信託契約によって利益を得る
受益者とは、託された財産(信託財産)から発生した利益(受益権)を受ける人のことをいいます。原則、受益者は委託者によって指定され、委託者自身はもちろん法人等誰でもなることができますが、受益者は受託者の監督を行う立場であるとともに受託者に対して解任・選任などを行う権利を有するため、高齢の方や未成年者などが受益者となる際には、「受益者代理人」を決めておきましょう。
なお、受託者=受益者が完全に一致する場合、委託者が受益者に信託財産をあげたことになるため、1年で信託契約は終了します。受託者と受益者が完全に一致しない場合はこの限りではありません。
受益者が死亡した場合
受益者が死亡した場合、受益権は相続対象となるため法定相続人に相続されます。
ただし、契約時に受益者が死亡した場合についての取り決めをしておけば、第一受益者の死後は第二次受益者へ、第二次受益者の死後は第三次受益者へ、といったように受益権を引き継ぐことが可能です(受益者連続型信託)。
節税としての家族信託
相続において不動産の所有権を移す場合、不動産の固定資産評価額の0.4%が登録免許税としてかかりますが、信託契約の中で受益権を引き継げば1件当たり1,000円となり節税になります。
贈与税の課税対象
家族信託における贈与税は「受益者=実質の所有者」という観点から、贈与税の課税対象については受益者が誰であるかによって異なります。
- 自益信託…委託者A=受益者A、受託者B
Aは信託した自分の財産から生じた利益を自身で受け取るので非課税。 - 他益信託…委託者A、受託者B、受益者Cの場合
Aが信託した財産からCが利益を得るので贈与となり、年間110万円以上の利益に対して贈与税がかかる。